若手社員を積極的に海外視察に派遣するKTECの狙いと、若手社員の本音とは?

「KTEC TIMES」はKDDIテクノロジーの〝現在(いま)〟を社員インタビューやイベントレポートなどを通じてお届けしています。

2025年度最初の社員インタビューは、若手社員を積極的に海外視察に派遣するKTEC開発4部の山口健輔さんにその目的や意義をお聞きしました。また、同席した若手社員の甲斐巧真さんと松本隼人さん(どちらも開発4部)からは、お二人の海外視察の経験もお聞きしています。


◇自己紹介をお願いします。

-山口
開発4部の山口健輔です。画像AIを使った点検ソリューションを外部のお客様に提供する画像AI個別ソリューションチームのリーダーを担当しています。主に案件管理や作業上のリスク管理を行いながら、お客様の課題や要件に対してどんな技術を使えば解決できるのかを考えて提案や案件推進をしています。

2007年の入社で、今年で18年になります。ガラケーのプラットホームの検討やアプリ開発に携わった後、Android初期のC-Mailアプリの開発などを行い、現在は画像AI領域を主に担当しています。

-甲斐
入社3年目の開発4部の甲斐巧真です。現在は自然言語処理系のチームに所属し、チャットボットの開発などに携わっています。

-松本
入社2年目の開発4部の松本隼人です。画像AIチームに所属し、印字不良検査アプリについて、リーダーから指示された箇所の修正や簡単な開発などをしています。


左から山口さん、甲斐さん、松本さん

■海外視察に参加した若手社員が現地で見て、感じたこと

◇みなさんが参加された今年3月カリフォルニアのサンノゼにて開催されたNVIDIA主催のGPUテクノロジーカンファレンス(以下GTC)の概要を教えていただけますか?

-甲斐
概要としては大手半導体メーカーであるNVIDIAのAIを中心とした最新技術や製品などの発表、活用方法に関するセッションや、業界リーダーによる基調講演、デモンストレーションなどが現地とオンラインを通じて行われていました。


GTC会場

◇甲斐さん、松本さんは海外視察は初めてだったのですか?

-松本
私は初めての海外でした。

-甲斐
私は昨年初めてGTCに参加し、今年で2回目です。

◇今回GTCで印象に残っていることはありますか?

-甲斐
昨年のGTCでNVIDIA NIM(NVIDIA Inference Microservicesの略称)とNVIDIA NeMo(カスタム生成AIアプリを構築するためのプラットフォーム)のサービス発表があったのですが、今年もそれらに関連するセッションがかなり多かったので、業界の注目度の高さと今後さらに活用されていくであろう業界の方向性を感じました。

-松本
印象的だったのは、自分の中でのAIに対する認識は画像と自然言語がその基本だと思っていたのですが、現地で視察してみると意外とその先の動画ですとか、3Dモデル、ロボット系といった分野のセッションが多かったり、基調講演などでも大々的にロボットが登場するなど、AIは次の次元に移行しているんだなと業界の未来を実感しました。

■若手社員がAI技術の最先端に触れることの意義とは?

◇山口さんは今回のような海外視察の意味や意義をどのように捉えていらっしゃいますか?

-山口
大きく分けて2つあるかと思います。まず今の時代で言うと、AI技術の最先端は海外です。
特にAIの世界は〝学習〟にとても計算リソースを割くのですが、そのハードを今握っているのはNVIDIAです。彼らのロードマップいかんでこの先どのようなAIが作られていくのか決まるぐらいの情勢になっています。そのNVIDIAのGPUを使うためのライブラリや周辺のツールやwebの環境なども彼らが持っているため、実質AIの世界を仕切っているのはNVIDIAと言ってもいいくらいだと思います。

AIの世界の中心にいる人たちが現在の情勢をどう見ているか、またそれを踏まえた上で将来的な展望やビジョンを表明すると業界全体の流れが左右されます。さらにその流れに合わせて彼らもハードや環境を作っていくので、こうした情報に触れておくと今後のAIの方向性がダイレクトかつリアルタイムで分かるということが現地視察をする大きな意味だと思います。

実はGTCでの講演や資料はWEB上にアップされるので、必ずしも現地で参加しなくても技術情報は収集できるのですが、現地に行くとこの講演にはとても人が集まっていたとか、食事しながら参加者間でどういう話しているのかなど現地に行かないとわからない周辺の情報を肌で感じます。実際GTCは私自身何度も視察に行っていますが、去年と今年とでは参加者の数が明らかに増えていて、人口密度もとても高かったですね。改めてAI自体に注目が集まっていることが肌で感じられました。


人であふれる会場

もう一つは、若手社員の方が海外視察に行くことで物怖じしなくなるということが大事なポイントだと思います。海外に行ったことがなかったり、ましていきなり英語で外国の方とコミュニケーションをとるのは心理的にハードルが高いと思っています。ただ、一度でもこのような海外視察などに参加すると、なんとかなるということがわかります(笑)今の時代、翻訳アプリを使ったり、わからない英単語はその場で簡単に検索できたりするので即時的な対応力が身につくと思います、そうした感覚を実地で掴んでもらうのが大事だと思います。例えば、今後海外のお客さんと仕事をする際に物怖じせず向き合えるように、若いうちにこうした海外視察を通じて度胸をつけておくという意味合いもあると思っています。

■視野が広がり、これからの提案力に繋がっていく

◇甲斐さんは今年GTCは2回目の参加でしたが、初めての海外視察の際と比較してご自分の中で何か変化はありましたか?

-甲斐
初めての海外視察の時と比べるとだいぶ心持ちは違うかなと思います。確かに意外となんとかなったっていう感覚を得られたのが大きかったので2年目はそこまできつくなかったですね!またGTC全体を通していえるのは去年と比べて参加者の数が増えていました。例えば今年は私が行きたかったセッションは人数オーバーで入れなかったりすることもありました。AIは年々注目されてるんだなというのを肌で感じましたね。これまで自分が知らない分野にAIが活用されてることも体感できたので視野はかなり広がったと感じています。

◇初海外視察の松本さんは全体を通してどう振り返っていますか?

-松本
そうですね。本当に行く前は大丈夫かな?と心配だったんですけど(笑)
実際に行ってみたらバタバタすることはもちろんありましたが、なんとかなったなっていうのが本当に1番の印象ですね(笑)


◇若手お二人の振り返りを聞いて、山口さんはどう思われますか?

-山口
今回の海外視察を通じて着実に成長しているんだなと頼もしく感じています。先ほどの松本くんの感想は良いポイントを捉えているなと思います。いまKTECで扱っているAIの分野は画像と自然言語なので、狭い視野で仕事をしているとそれしか見えなくなりがちなんですが、AIは日々めちゃくちゃ進歩していて、特定のタスクだけをこなすAIというよりは、本物の人間に近い、なんでもできるAIを作ろうという流れになっています。世界的にAIはさまざまなフィールドで使われ始めているということをこの年次で実感できたというのは経験としてとても大きいのではないかと思います。

■お客様からのニーズに対してポジティブに向き合う力

◇会社全体として多角的な提案力が上がっていくことを期待しているからこそ、若手の方々にも積極的に海外視察に積極的に参加してもらえるようなチャンスを用意しているということですね

-山口
まさにそういうことかと思います。ですから今回のようにAI関連の盛り上がりを現地で直に感じてもらっただけでもまずは経験としてとても価値があると思っています。見識を広く持っておかないと、お客さんのニーズを聞いたときに否定から入ってしまうこともあるかもしれません。でも、こうして現地で最先端の情報や技術、事例に触れておくことで、いままで見聞きしたことを活用して解決できるかもしれないという想像ができるはずです。お客様からの難しいリクエストに対してもポジティブに考えられるようになると思うので、今後さまざまな提案ができていくのではないかと彼らに期待しています。

■積極的に若手のスキルアップを後押しするKTECの企業マインド

◇では最後にKTECの魅力を教えていただけますか?

-甲斐
KTECの魅力として我々のように若手でも海外視察に行けるチャンスがあるということが大きいと思います。しかもその海外視察にあたって英語力を鍛えないといけないという不安に対しては英語力を鍛えるためのオンライン英会話サービス「レアジョブ」なども社内で利用できるようになっていますので、事前の不安に応えてくれる社内の体制も整備されているところがとても良いと思います。

-松本
さきほど山口さんが言われたように、事前に広く知識を持っておくとお客さんからの難しい要望などにも応えていけるポジティブな提案ができるのだと思っています。例えば、今回のGTCで画像とロボットを組み合わせる技術などもあったなと認識していれば、まず仮説などが立てられて、前向きにお客さんのニーズに対する解決策を検討できるようになると思います。ですから、今後必要とされるAIのさまざまな知識を組み合わせて、その時のニーズに応えられる提案力などが日常業務や海外視察で学べるということが大きな魅力だと思っています。

-山口
若手を育成したいというモチベーションや積極的に彼らに対して投資をしていく土壌、マインドがKTEC全体であると思います。本人さえやる気になれば、甲斐さんが言ったような自己研鑽のための補助とかも出るし、海外での経験も自ら手を挙げれば行かせてくれるような環境なので、全社的に人を育てる体制になっているのかなと思います、もちろん本人さえやる気になれば(笑)いくらでもスキルアップできる機会を与えてくれるのがKTECの魅力だと思います。


■海外視察で得た〝度胸〟が、KTECの未来を切り拓く力になる

◇若手社員を積極的に海外視察に同行させることによって、AI技術の最先端を肌で知り、海外の方々とのコミュニケーションの楽しさや難しさを経験する。先輩社員山口さんの〝度胸〟という言葉が印象に残りました。

それは今後KTECが最新技術をお客様に提案する際になくてはならない提案力に直結するものだと思います。AIの世界は日々進化が止まらない中で、常に前向きに情報をキャッチアップし、それらを自身に取り込んだうえで、お客様のニーズに応えてゆく力が大事なんですね。

KTEC全社を挙げて若手社員がスキルアップできる環境を整え、お客様のニーズに対しKTECが持つ技術力が最良の形で組み合わされて、新たな価値を提供していく未来が見えました。

山口さん、甲斐さん、松本さん、ありがとうございました。

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