文化のちがいも困難も、捉え方ひとつでおもしろさに。 海外ベンダーとの対話にこだわり、一緒に考える製品開発
個性豊かなKTEC社員にスポットを当てるKTEC TIMES。今回は、中途採用にて入社し、さまざまなデバイスの開発を担当している奥本孝明さんの記事を2回にわたってお届けします。
まず前編では、現在担当している製品開発について、またその仕事のおもしろみや大切にしていることについて、お話をうかがいました。

開発6部 奥本孝明さん
2022年4月に中途採用にて入社。
STBデバイスの開発とプロジェクトマネジメントを担当。
サッカーが好きで、海外の試合もできる限りチェックする。
製品開発を円滑に進めるための「司令塔」として

―現在は、KDDIテクノロジー(以下、KTEC)でどのような仕事をしているのか教えてください。
ホームゲートウェイや子ども用のGPSトラッカー、セットトップボックスなど、さまざまなハードウェアの製品開発を担当しています。
クライアントからの相談を受けて、その要望を叶えるにはどのような設計にしたらいいかを探り、海外のベンダーに製作を依頼するので、ゼロから自分で設計図を書くというよりは、ディレクションとプロジェクトマネジメントが主になります。
ベンダーから上がってきた設計図をチェックして、よりよくなるように要望を戻すのも重要な仕事。設計図=レシピと例えるなら、カレーのレシピ依頼に対してとても辛いカレーのレシピが上がってきた時に、日本向けにするためにどうしたらいいかを考えて、具体的な改良の方向性や材料を提案するのが、私の役割です。
設計図は書いた人の思想やこだわりが表れるので、おもしろいんですよ。私自身も、設計図を書いていた時期があるので、レイアウトがきれいだったりわかりやすかったり、書いた人の美意識を感じると嬉しくなってしまうんです。

―これまでに担当した案件で、特に印象に残っているのは、どのような仕事ですか。
取引をしている海外ベンダーは中国や台湾が多いのですが、ある案件の工場を急遽、中国からベトナムに移すことになり、8ヶ月という短い期間で新たな工場をゼロから作ることになりました。
普段のデバイスの開発とは少し異なる案件ですが、そのプロジェクト管理を担当したのが、ここ数年で最も大きな仕事でした。
中国の工場では、スタッフも育ってベテランも多いのですが、ベトナムでは人を集めるところからスタートし、教育をしていかなくてはなりませんでした。ベトナム語で作るマニュアルも、中国でのやり方を踏襲しながら、部分的にベトナム用のアレンジが必要だったので、内容の検討が大変でした。
材料の調達方法も、これまで稼働していた中国の工場から運搬するのか、ベトナム周辺で調達する方がよいのか、予算的なところからも見直して整理していかなくてならなかったので、その辺りも時間のない中で緊張が伴いました。また、台風やスコールによるトラブルも頻繁だったので、運搬には対策も必要となりました。
初めてのことだらけで大変ではあったのですが、それすらも難易度の高いゲームのようで、おもしろさも感じていました。また、個人的にいろいろな国の文化や環境を知ることは好きなので、ベトナムの食や言葉にもたっぷり触れることができて、楽しくもありましたね。

関係づくりも大切に、忍耐強く心地よくパスを回す
―今の取り組んでいる仕事で、特に難しいと感じるのは、どのようなところでしょうか。
海外の工場とやりとりすることが多いのですが、文化の違いによって苦戦するということはよくあります。
例えば、中国や台湾だと仕事が終わっていなくても、定時で帰ってしまうのは普通です。それを放置してしまえば、期日までに完成させることが難しくなってしまうので、進捗状況をきちんと見て、適切に折衝することも大切です。
中国の旧正月のタイミングなど、文化として知っておくことで、スケジュール管理やコミュニケーションがスムーズになることもあります。少しずつ互いの文化を理解して、尊重しあえる関係を育んでいくことが、この仕事の大変さでもあり、醍醐味でもあると思います。
また、コミュニケーションの仕方にも国民性は表れます。
例えば、中国の人は「できない」など、結果だけを伝える傾向があります。クライアントへの共有など、プロセスを明確にする必要がある場合は、できない理由をヒアリングするように心がけています。時間がかかることもありますが、根気よく丁寧に会話をすれば、きちんと見えてくるものがあるんです。
また、工場に足を運んだ際にも、日本の管理された工場とは異なり、細かいところで「もうちょっと、こうしてくれたら」と思うことは出てきます。
しかし、そういう時にうるさく言いすぎない、ということ大切だと思っています。うるさく言いすぎるとモチベーションが下がってしまうので、舵取りとバランスを考えながら、どのように伝えるかを考える必要があります。
その匙加減が難しいのですが、そこにやりがいも感じています。

―プロジェクトを円滑に進めるために、日頃から心がけていることはありますか。
ひとつは、諦めないことです。
やってほしいことが10あったときに、「できない」と言われたら、「1でも2でもいいからやってほしい」と伝え、上がってきたら「3と4もできないか」と掛け合ってみます。そうやって細かく依頼した結果、全ての依頼事項をやってくれた、ということもあります。
頼み方の工夫もありますが、忍耐強さを持って接していくことが重要だと思っています。
また、できるだけ「要求」ではなく、「相談」をするようにしています。
指示になると、彼らは考えることをしなくなってしまって、ただの作業として仕事をします。でも、少し崩したニュアンスで「提案」として伝えて、考えてもらえるようにインプットをすると、一緒に作っている意識でモチベーションを上げて取り組んでくれるのです。
そして、いいものが上がったら、素直に褒めます。やっぱり、「人」ですから、褒められたら嬉しいですし、頑張ろうという気持ちになりますからね。
私は趣味でサッカーをするのですが、相手とのパス交換が好きです。いいパスが繋がってくると、ゲームがどんどん楽しくなってきます。それを、仕事に持ち込んでいるのだと思います。
好きなことと結びつけて、楽しく学び続ける

―現在、スキルアップのために取り組んでいることはありますか。
海外の工場とのコミュニケーションは、ほぼ英語です。社会人になった頃は、英語は全くできなくて、TOEICも恥ずかしいことに200点程度。これはまずいと思って、英語の勉強をすることにしました。
しかし、続かない勉強では意味がないので、『24-TWENTY FOUR-』のDVDを買って、字幕なしで何度も繰り返し観ることを始めました。汚い言葉から覚えて、次第に単語と発音がわかるようになり、字幕なしでも内容が理解できるようになりました。そして、少しずつ話せるようになったんです。
現在は、Youtubeで海外のサッカーハイライトを見るのが日課。スキルアップしたい英語と好きなことを結びつけることによって、勉強と思わずに楽しみながら英語を学び続けています。
先日、上海出張に一人で行ったのですが、英語で会社紹介を含めて様々な話をすることができました。昔の自分を考えたら、ものすごい進歩だなと思います。
リスニングに比べると、話す方が今でも難しいですし課題もたくさんありますが、今は焦らずにゆっくりと、相手に伝わるように話すことを心がけています。
―これからやってみたいことや、担当してみたい仕事はありますか。
これまでアジアの工場はかなり経験をさせてもらったので、今はヨーロッパの工場にも興味があります。設計や開発をどういうふうにやっているのか、設計図をどんなふうに書くのかも知りたいですね。
海外との仕事は、さまざまな人たちと交流ができますし、異文化を知ることができるので、私にとってはとても魅力的です。もちろん一筋縄ではいかない難しさもありますが、だからこそおもしろいのだと思います。

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