日本初のモバイル接続から生成AIの先へ。 技術を追い続けるCTOのキャリアとミッション

個性豊かなKTEC社員にスポットを当てるKTEC TIMES。今回は、嶋是一CTOのインタビューをお届けします。日本初のモバイルインターネット接続に携わった経験から、社外活動やKTECの魅力、これからのエンジニアに求めることなどをお聞きしました。
最高技術責任者(CTO) 嶋 是一さん
1969年生まれ。大学時代、ノーベル賞学者の小柴昌俊教授(当時)のもとで素粒子物理学を研究。1993年度に理学部物理学科卒業後、筑波大学大学院を修了。国内大手電子機器メーカーで携帯電話の技術開発を担当し、モバイル関連の技術開発、Androidコミュニティー運営などを行う。2012年、KDDIテクノロジーに入社し、2021年より最高技術責任者(CTO)。モバイル技術普及活動の傍ら、科学(天文、気象、アマチュア無線、教育ボランティア)、音楽(ストリートピアノ、DTM)などを嗜む。
< 主な社外での活動>
・特定非営利活動(NPO)法人「日本Androidの会」理事長/コミュニティー運営委員
・MCPCモバイルシステム技術検定 副主査
・一般社団法人「生成AI協会」理事/人材育成・教育WGリーダー
・技能五輪国際大会選手強化委員会 モバイルアプリケーション開発分科会委員
・玉川大学、東京電機大学の非常勤講師
・「Google Android入門」「続・5G教科書 ―NSA/SAから6Gまで」など著書多数
「好き」を原動力に、さまざまな技術を吸収してKTECへ
─嶋さんがエンジニアになったきっかけを教えてください。
職業としてエンジニアを「選んだ」という感覚はなくて、コンピューターを触ることが好きでのめり込むうちに、気づけば自然とこの道に進んでいました。コンピューターを触ることに興味を持ち始めたのは小学生の頃で、自宅と同じ建物にあったコンピューター教室に通い、いろいろと触っているうちに好きになっていたんです。
大学生になり自分のコンピューターを手に入れてからは、アマチュア無線を使ったパソコン通信に熱中しました。その後、素粒子物理学の研究に進む中で、大量のデータ解析が必要となり、研究室に揃っていた最先端の計算機やネットワーク環境を日常的に扱ううちに、物理そのものよりも計算機のほうが好きになっていましたね。
大学院生になると、Webが日本に入り始めたばかりのインターネット黎明期に自然と足を踏み入れています。研究させて頂いていた研究所には、日本で最初に立ち上がったWebサーバーがあり、そこに自分のページを作らせてもらったことは今でもちょっとした自慢です(笑)。
─ 大学院を卒業後は、電子機器メーカーに入社されています。どのようなお仕事に携わられていたのでしょうか。
PHSしか作ってこなかった社内で、au向けの携帯電話を初めて開発するプロジェクトが立ち上がり、開発メンバーとして参加しています。メーカー側の担当としてKDDIと協力しながらWAP(初期の携帯向けWeb閲覧規格)サービスの立ち上げを推進する中心メンバーとして活動しました。
当時は、先行メーカーが米国で検証を進めており、私たちは三番手としてモバイルインターネットサービスの通信接続に挑戦したのですが、いろいろ前提はあるものの日本国内で初めて成功を収めることができたんです。KDDIから「日本で初めてつながりましたね」と言われた時がもうめちゃくちゃ嬉しくて、深夜2時頃にシールドルームで一人で踊ったほどです(笑)。
─その後、通信端末の仕様策定や先行技術開発などを通じて専門性を深められています。KDDIテクノロジー に転職するきっかけは何だったのでしょうか。
KDDIと同じ電波方式を使用していた、米国最大の大手通信事業者向けの仕様策定業務に携わったことが大きなきっかけとなったと思います。その知見があったおかげで、KDDIテクノロジー入社後に動きやすくなりましたね。また、その後はau向けスマートフォン開発なども経験し、UIやデザインなどの知見も蓄積できたことで、KDDIテクノロジーでもさまざまな人と技術的な会話ができるようになりました。そして、自分が好きな技術をさらに突き詰めていきたいと考え、2012年にKDDIテクノロジーへ転職しています。
─キャリアを歩む上で大切にしている考え方を教えてください。
ネガティブにならないように心がけています。人と楽しく過ごすためには、いつも笑顔でいることが大切だと思っているので、周りにも「実際に笑うとバカみたいだけど、笑い出す直前ぐらいの表情で過ごしていれば、何事もうまくいくよ」とよく話します。
ただ、そのためには自分が「心から楽しい」と思えることを見つめ続けることも必要です。それが明確になれば、自然とその領域に集中でき、「もっと知りたい!」という探求心から、好きなことや興味あることにより深く取り組めるようになるはずです。私自身もそうやって進んできた先に今があります。
技術を共有し合う楽しさと、社外活動が生む人のつながり
─嶋CTOは社外でも幅広く活動されていますが、なぜ数多くの社外活動に取り組まれているのでしょうか。
単純に楽しいと思えるからですね。技術者として、多くの人とさまざまな技術についてコミュニケーションをとりながら楽しく共有し合う、その行為自体が好きなんです。しかも、その先で世の中や会社のためになったり、人材育成につながったりもするので、いろいろなことに積極的に取り組むようにしています。
─2025年12月開催の「Okinawa Open Days(以下、OOD)」では、生成AIについて講演されました。このような技術カンファレンスで、積極的に知識を共有される意義は何でしょうか。
情報を発信すると、より多くの情報が集まってくることです。ギブアンドテイクを目的としているわけではないのですが、面白い話ができると「次はもっと面白い話が聞けるかもしれない」と思った人が近づいてきてくれて、「自分もこんな面白い話を持っています」と話しかけてくれます。
そして、お互いに「そんな技術は知らなかった!」と共鳴し合えると、ほかにはないアイディアが生まれることがありますし、情報がさらに集まってくることもあります。その情報を蓄積しておくと、いざというときに役立ちますし、良いものがあれば会社に持ち帰れることもあるんです。そういうことにもつながる情報交換の場そのものが刺激的で、単純に楽しんでいるわけです。
また、優秀なインフラ系エンジニアをリクルートする機会にもなっています。今回のOODには、インターネットやクラウドの基盤をつくってきたトップレベルのインフラエンジニアが集まりました。社内で採用を強化したかったこともあり、スポンサー枠で展示や講演枠を得て、会社のアピールも行っています。
─技術の共有や採用以外にも、社外活動がもたらす効果はありますか。
「人のつながり」ができることは非常に大きいですね。KDDIグループは会社の規模が大きすぎて、誰が、どこで何をしているのか把握しづらいのですが、技術系のイベントに行くとKDDIの人たちも参加していたりします。
OODでも、現地で同じ技術領域に関心を持つKDDI社員と出会い、「そんな取り組みをしているんですね」「じゃあ、次は何か一緒にやりましょうよ」と、現場レベルで新しい協業の話が自然と生まれました。こういったことからも社外に出ていくことの意義は大きいなと感じています。
KDDIテクノロジーは新しい技術に触れながら成長できる環境
─嶋CTOから見た、現在のKDDIテクノロジーの魅力は何でしょうか。
新しい技術にたくさん触れられることだと思います。自分から希望しなくても新しい技術を使う案件がすぐ目の前にあり、仕事をこなしているだけでも自然と新しい技術に触れられる状態になることがKDDIテクノロジーの面白いところです。
ほかにも、いろいろな業務に挑戦でき、一人ひとりの判断できる範囲が大きいことも魅力です。やりたいことをきちんと伝えられれば、それができる環境があります。ただし、裁量が委ねられている分、自分で判断して行動しなければなりませんし、結果には責任も伴います。
だからこそ、このような会社のカルチャーに適応でき、好奇心があって技術の習得が面白いと思える人には、とても良い環境だと思いますね。
─KDDIテクノロジーで働くメンバーに対して、どのような印象を持っていますか。
今から15年前、KDDIテクノロジーに転職したときの第一印象は、「めちゃくちゃすごいメンバーがいるんだな」ということでした。それまでは同じ仕事を5年、10年と続けて、技術を切り替える経験があまりない一般的なメーカーにいたので、新しい技術をものすごい速度で習得し、すぐにアウトプットを出せるメンバーがいるKTECに入ったとき、「とんでもないところに来たな。このメンバーの能力なら、確かにいろいろなことをできるのも納得だ」と思ったことを覚えています。
今は会社の規模も大きくなり、多様な人材で成り立っているからこそ、全員がそういうタイプというわけではありません。とはいえ、KDDIテクノロジーの強みを引き継いでいくためにも、“新しいものをいち早く取り込み、アウトプットまで持っていける人”をロールモデルとし、みんなが目指していけるような仕組みづくりをCTOとして進めようとしているところです。
─CTOとして今、最も注力していることは何ですか?
開発環境の標準化と人材育成です。KDDIテクノロジーには6つの開発部がありますが、放っておくと各開発部がそれぞれ独自のやり方で仕事を進めてしまい、社内で協力しづらくなります。そこで、社内共通で利用できる開発ツール導入や、安全な運用を会社側で肩代わりするなど、CTO室で共通ルールを整え始めました。その結果、雑務や申請などの手続きがだいぶラクになり、共通のツールを利用する人が増えたおかげで知見もたまり、分からない事も周りの人に安心して質問できる環境になってきています。
また、人材育成の部分では、エンジニアがどんなスキルを身につけているのか、を見える化することで、本人の努力がまわりに評価され、モチベーションが上がる仕組みづくりに取り組んでいます。このような取り組みによって、みんなが気軽に相談し合えたり、自律的に動けたりする文化をつくることは面白いですし、感謝してもらえるのが嬉しいです。
加えて、新しい技術を追いかけ、KDDIテクノロジーの新しい柱として育てていくことが自分の基本的なミッションだと思っています。通信技術はおよそ10年ごとに大きく進化するため、その波に合わせて世の中でも新しいイノベーションが起きてきました。1990年代にはインターネットが、2000年代には「EZweb/iモード」などの携帯電話インターネット接続サービスが、2010年代はスマートフォンが普及しています。2020年はコロナ禍の影響で大きな変化はありませんでしたが、だからこそ「次は何か起こるぞ」という中で、今のトレンドは生成AIです。
これまでの各年代の大きな技術トレンドに早い段階から触れてきた経験を活かし、事業の柱をつくるCTOとして「生成AIの次に来る、新しい技術を探すこと」が自分のタスクだと捉え、楽しみながら取り組んでいます。
相手を理解したものづくりができる、技術で負けない玄人集団に
─CTOとして、KDDIテクノロジーをどのような技術集団にしていきたいですか。
「技術では負けないぞ!」という好奇心旺盛な“玄人集団”であり、相手を理解できる集団にしてきたいですね。相手を理解するというのは、“相手の立場を想像し、望む姿を把握すること”だと言えます。それをせず、ただ言われた通りに作るだけなら生成AIでもできますよね。それに意思が弱いまま生成AIに作らせれば、よくわからないものができてしまい、世の中のためにもならず、何より作っていても楽しくないはずです。そうじゃなくて、自分で作ったものを届ける相手、例えば利用者であったり、お客様であったり、ケースバイケースですが、それらを理解した上で自分が本当に欲しいものを自問自答し、「自分はこれを提供したい」という強い意思を持って提案できることが大切だと考えています。
─生成AI時代を迎えた今、若手エンジニアにはどのような心構えが必要だと思いますか。
「折れない心」が大切だと思っています。結局、生成AIを使うかどうかに限らず、最後につくったものが世の中の役に立つことが重要です。生成AIを使い、短時間で安価に作成しても、使えないものやバグだらけのものだったら誰も利用しないので価値がありません。自分の手でコードを書くにしても、AIが自動でコードを組み上げるにしても、成果物をちゃんとつくって、それで価値を生み出せるのなら問題ありません。だから、どういう道を通ってもいいので、途中で諦めてゼロにならないために、これからは最後までやり抜く「折れない心」が必要になると思います。
─その心構えを持った上で、今後のKDDIテクノロジーにどんなメンバーが増えていけばいいなと考えていますか。
ポジティブシンキングで、話していて楽しい人ですね。ネガティブになったり、人を否定したりすることが続くと、本来持っている力や良いアイディアを発揮できなくなってしまいます。そうならないように、「自ら考えた上で、わからないことは何回でも質問してください」とメンバーに伝えてポジティブな姿勢を促しています。そうして一人ひとりが前向きに挑戦できることで、個人もチームも成長できると信じています。
─ありがとうございました。
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