顧客価値最大化のために。DevOps導入で進化するKTECの開発現場

「もっと楽しく。もっと面白く。あくなき探究心で。」をパーパスに掲げているKDDIテクノロジー(社内ではKTEC(ケーテック)の愛称)。

現在KTECでは、DevOpsという手法を導入した開発が進められています。今回は、DevOps導入を推進している開発2部の作さんと石橋さんに、「DevOpsとは何か」から導入前後の変化、これから目指す方向性について、お話を伺いました。


自己紹介をお願いいたします。

作:作 弘文(さく・ひろふみ)です。前職では、自社サービスの開発プロジェクトにて、マネジメントから開発保守まで全般的に携わっていました。2020年5月にKTECに入社し、現在は開発プロジェクトのマネジメントや、DevOps導入の社内推進を行っています。


石橋:石橋 雄二(いしばし・ゆうじ)です。前職ではAndroidアプリの開発や社内システム保守などの開発業務全般に携わり、KTECには2020年12月に入社しました。現在は作さんと同じく、開発プロジェクトのマネジメントや、DevOps導入の社内推進を行っています。


■KTECのクラウド開発とその魅力

KTECでは、クラウド環境でどのような開発を行っていますか?

作:一般的なWEBサイトやAPI、モバイルアプリの開発のプロジェクトが多いですが、最近では機械学習やAI、IoTプロジェクトでもクラウド環境を活用しています。

石橋:私が担当するプロジェクトでは、ネット記事から動画を自動生成する機能をクラウド上で開発しました。最近のプロジェクトでは、このようにクラウド上で開発することが多くなっています。

クラウド環境を利用することのメリットは何ですか?

作:クラウド環境を利用することで、システム開発に専念できるようになったことが一番のメリットだと思います。また最近では、コンテナ仮想化やInfrastructure as Code(IaC)よってインフラの管理がしやすくなったこともメリットだと感じています。

石橋:オンプレミスの場合、システムを稼働させるためのサーバーを準備するのが難しく、需要予測に基づいて適切なスペックを計算する必要がありました。しかし、予測通りにサービスが普及することは稀で、結果的に必要以上のスペックになってしまいサーバー費用が無駄になったり、逆に予測以上に需要がありスペック不足による障害が発生したりするといった問題に悩まされていました。

その点、クラウド環境では必要に応じてスペックを柔軟に調整できるため、オンプレミスでの問題が発生しにくく、システムの構築も容易になったと感じています。

開発プロジェクトで気をつけている点は何ですか?

作:コンテナ仮想化やサーバーレスを積極的に採用し、開発の効率化や運用の負荷軽減に努めています。また、KTECではスクラム開発を採用するプロジェクトが増えており、その推進での課題の解決にDevOpsの開発手法を活用しています。

石橋:お客さまに提供するシステムのQCD(品質・コスト・納期)を向上させ、高品質・低コスト・短納期で高い価値を提供することに気をつけています。その実現には開発効率の向上が不可欠なので、私たちはDevOpsを導入し、効率的な開発を進めています。

■DevOps導入で高まる心理的安全性。開発現場における変化

DevOpsとは、どのようなものなのでしょうか?

作:DevOpsとは、開発と運用が連携してサービスを迅速に提供するための開発手法です。DevOpsの核心にあるのは、「3つの道」という原則と「CALMS」というフレームワークです。

例えば、フローの原則にあるCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)を活用することで、アプリケーションを頻繁にリリースすることが可能になります。開発側は小さな変更を頻繁にリリースできるため、多くの改良を迅速に行うことができ、運用側は変更によるリスクを最小限に抑えることができます。この取り組みにより、顧客や利用者に迅速にアップデートを届けることが可能になります。


DevOpsを取り入れる前後で、現場でどのような違いが生まれていると感じますか?

作:プロセスの自動化により、環境差異が無くなりリリースまでのプロセスの一貫性が保たれます。これまで手作業で発生していたミスも減少し、品質が向上しました。

またDevOpsの原則に基づき、「非難のないポストモーテムで原因を探る」「不具合の原因をチーム全体で検証する」といったアプローチを採用することで、個人を責めるのではなくチーム全体で改善に取り組む風土が育まれており、開発チームの心理的安全性も高めています。


DevOpsを導入するにあたり、課題だと感じたことは何でしたか?また、その課題をどのように解決しましたか?

作:DevOpsの必要性を理解してもらうことが大きな課題でした。

これを解決するために「The DevOpsハンドブック」を参考にし、そこで紹介されているイノベーター理論を活用しました。具体的には、まずDevOpsに理解のある一部の開発プロジェクトで実践し、その成功体験を共有することで、徐々に理解者を増やすという方法です。

エンジニアはそれぞれが異なる考え方や重視するポイントを持っているため、単に「これが良い」と伝えても、なかなか受け入れてもらえません。しかし、実際に成功体験を目の当たりにすると、「自分たちも試してみたい」という雰囲気が生まれ、自然に広まっていくものと考えています。


DevOpsはどのようなサービスの開発に活用されていますか?

作:例えば、KDDIが提供するサービス「au Ponta ポータル」の開発ではDevOpsの仕組みを取り入れています。また、「au HOME」や「au PAY」でもCI/CDの導入が行われています。

■クラウド開発を支えるエンジニアが感じるKTECの魅力

お二人が感じる、KTECでの仕事のやりがいはどんなところにありますか?

石橋:さまざまな課題を克服して作成したものが評価され、実際に使ってもらえたときにやりがいを感じます。例えば、DevOps普及のためにCI/CD環境を構築しやすくするテンプレートを用意したのですが、それを利用し効率化に繋がったと言ってもらえたときは嬉しかったですね。

また、KTECは社員の技術力向上に非常に注力しています。資格試験の受講費用などを会社がサポートしてくれるので、とても助かっています。


作:KTECのクラウド開発プロジェクトではスクラム開発が増えており、社内でも自己組織化された働き方が期待されています。

KTECは、自分の考えを提案してプロジェクトに反映しやすい環境が整っています。情報を発信しやすく、アーキテクチャ選定から開発に関わりたい方にとって、やりがいある仕事ができる場所だと思います。

開発前にどのように進めるかについて提案することもできるため、「この言語で、この仕組みで進めなさい」といった固定的な指示はありません。代わりに、「このプロジェクトに最適なものは何か」を考え、タスクごとに担当が責任を持つという考え方で技術や仕組みを採用していける環境が整っています。

最後に、お二人の今後の目標を教えてください。

石橋:自分の担当する案件にDevOpsを導入し、作業効率化の実績を積み上げることで、さらなる社内展開と普及活動に貢献していきたいと思っています。

作:DevOpsの開発生産性を測る指標に「FourKeys」という4段階評価のものがあり、KTECの開発チームがその一番上である“エリート”レベルに達することを目標にしています。DevOpsの改善活動の文化を定着させていくことで、顧客価値を最大化させていきたいです。


◇作さんと石橋さんが描く未来のビジョンと、その実現に向けた努力や熱い想いを感じるインタビューでした。お二人とも、誠にありがとうございました!

  • JOIN KDDI
    TECHNOLOGY