“一生プレイヤーでいいのか?” 27歳エンジニアが自問の末に決意した、フリーランスからKTEC社員への転身

さまざまなスタイルで活躍の幅を広げる、個性豊かなKTEC社員にスポットを当てるKTEC TIMES。今回は、フリーランスから初めて会社員になる道を選んだ開発3部の福田陸弥さんにお話を伺いました。

VR業界では一目置かれるほどのスキルを持つ彼が、就職を決めた理由はなんだったのでしょうか。そして、社員となったことで働き方や案件との向き合い方、モチベーションはどのように変わったのでしょう。


開発3部 福田陸弥さん

2024年2月にフリーランスのエンジニアから
中途採用にて(株)KDDIテクノロジーに入社。
主にデジタルツイン領域のコンテンツ開発に携わりながら、得意とする分野やスキルを拡大している。
最新技術や機材には目がない。自称ガジェットオタク。

最新技術に心躍らせながら、人を楽しませるコンテンツを考える

― まずは、KDDIテクノロジー(以下、KTEC)で担当している業務を教えてください。

所属している開発3部は、ドローン飛行・アプリ開発・映像配信・デジタルツインなどに取り組むチームで、中でも私が主に担当しているのは、VRゴーグルを活用したコンテンツの開発です。現実空間をデジタルに再現したり、写真や動画を3Dデータに起こしたりする業務に携わっています。

案件は、ほぼB to Bの企業向けの領域ですが、最終的には一般の方が触ることになる B to B to Cの案件も少なくありません。エンジニアとして自ら手を動かすことも多いのですが、案件によっては、外部のエンジニアに協力を仰いでプロジェクトを進めることもあります。後者の場合は、ディレクター的な動きをしています。


― 今のお仕事で、特におもしろさを感じるのはどんなところでしょうか。

仕事として最先端の技術に触れ、知的好奇心を満たすことができることですね。VRゴーグルもそうですが、個人ではなかなか触ることができない最新機材を仕事で使うことができるのは、正直かなりテンションがあがります(笑)。

この業界の技術革新は、ものすごいスピードで進んでいます。昨日まで主流だった技術が、今日のブレイクスルーによって急に過去のものになる、ということもあります。だからこそ、常日頃から新しい技術や機材の情報は追いかけていますし、それをチーム内でも共有し合っています。

そういうキャッチアップも、義務感でやっているのではなく好奇心から。知りたいから調べますし、知ったら試してみたくなります。そして、仲間たちにもいち早く知らせたい。新しい技術が出てくると、わくわくしてしまうんです。

― 好きな分野でも、仕事として携わる中で難しさを感じるところはありますか?

コロナ禍で仮想世界の商業的な価値が注目され、VR業界の需要が短期的に急増したという背景があります。その頃に比べると案件数は落ち着いたと思いますが、VR特需の影響もあって、クライアントから「3DスキャンのデータをWEB上で表示したい」「スマホでもPCと同じように表示したい」といった、技術的にも難易度の高いオーダーを受けることも増えてきました。

頭を悩ませることもしばしばですが、難しい課題がやってきたら割と燃えるタイプ(笑)。これができたらかっこいいぞ! と自らモチベーションを上げて取り組んでいます。

― お仕事をする上で大切にしていることはありますか?

私の根底にあるのは、「人を楽しませたい」という気持ち。自分が関わったコンテンツやアプリに関わる人、体験する人ができるだけ楽しめるものを作りたいと思っています。

もちろん、一人残らず全員が満足する、幸せになる、というのは至難の技です。以前、KTECのテックカンファレンス※ で「KTEC将棋」というゲームを開発した際も、その壁にぶち当たったのですが、その時にあらためて思ったのは、幸せの総量を最大化できる方法を探ろうということ。どうやったら、少しでも楽しさや幸せをプラスにできるかを考えながら、一つひとつの案件に向き合っています。

※社員間のコミュニケーション促進や技術力の向上を目的に、年に数回行われる社内オフラインイベント。主に社員有志でのプレゼンやLT大会、ワークショップ、基調講演などが行われる


スキルの拡大を求めて決意した、脱フリーランスという選択

― 福田さんが中途採用で入社したのは、2024年2月ですよね。なにか転職しようと思ったきっかけがあったのでしょうか。

私はKTECに入社するまで、どこの会社にも属さず、フリーランスのエンジニアとしてVRコンテンツに携わってきました。その中で、VR業界の繋がりでKTECの方と知り合って、先に外部のベンダーとして一緒に仕事をしていました。そして、1年くらい経った頃に「社員にならないか」と現在のチームメイトに声をかけていただいて、今に至ります。

― フリーランスから会社員になる道を選んだのには、なにか理由があったのですか?

2021年前後はメタバース需要の影響もあって、毎日ハードに開発をしていました。それが少し落ち着いたタイミングで一度立ち止まって、これからの仕事の仕方を考えてみたんです。当時27歳で、その時に思ったのが、このまま一生プレイヤーだけをやり続けるのは難しいだろう、ということ。そして、自分の5年先、10年先を想像したときに、プロジェクトマネジメントやディレクションのスキルを身につけておくことが必要だと思いました。

KTECから声をかけていただいたのは、エンジニアとしての技術や知識を評価していただいてのことだと思うのですが、ここでならエンジニアとしてのキャリアも継続しながら、同時にマネジメントスキルも身につけることができると考えて、入社に踏み切りました。

ベンダーとして関わっていた時に依頼された案件はなかなかトリッキーなものが多かったので、KTECに対して「KDDIグループという安定感もありながらおもしろい案件に関われる企業」という印象がありました。それも、入社を決断できた理由のひとつです。


― 実際に入社してみて、KTECの印象はいかがでしたか?

「KDDIテクノロジー」という社名には重厚で硬いイメージがあったのですが、入社してみると社風は柔らかで正直驚きました。そして、“技術が好き”ということが原動力になっている社員が多い印象です。今、所属している開発3部もまさにそういうメンバーばかり。チャット内は、普段から技術革新のことで盛り上がっています。

一緒に仕事をするメンバーが、少しずつ異なる得意分野を持っているのも、KTECの良さだと思います。ある人はロボットの制御に詳しく、またある人はレーザースキャンや製品検査のプロフェッショナル、私は見た目にもこだわるエンタメ領域が得意。

一人ひとりが持つ知識や技術の領域が違うからこそ、自分が解決できなかった問題を、隣の人がサラッと解決してくれたりその逆もあったり。ひとりの守備範囲が広くなくても、チームとして全領域に深く対応できる強さが備わっています。

また、フリーで仕事をしていた頃は、自分の得意な領域にしか関わることがありませんでしたが、企業に属してチームで仕事をすることで、自分のメインスキル以外の領域にもチャレンジできるのもいいですね。ひとりでは挑むことができない大規模案件にも携わることができて、今あらためて開発のおもしろさを感じています。

組織として川上から関わる中で見えてきたコンテンツの先の先

― 今のKTECの仕事に、入社前のご経験がどのように生きていますか?

入社前は、VR業界のイベントに何度も出展して、自作のコンテンツを体験していただいたり、登壇してコンテンツやスキルについて話したりする機会がありました。そこで培ったトークスキルは、クライアントにコンテンツの説明をするときや、新たな技術をご紹介するときなどに非常に役に立っています。

私は普段から、KDDIグループ内で一緒にプロジェクトを進めるメンバーにも最新の機材や注目すべき技術などをカジュアルに共有しながら、「こんなことがしたいです!」「こんなことができます!」と積極的にアピールするようにしています。それは、世の中に起こっている技術革新のわくわく感を分かち合いたいという気持ちもありますし、雑談レベルだったとしても、話していたことがおもしろい案件に結びつく可能性があるから。

自分が想定していたものとは違う角度から相談がやってきて、新たな技術開発に繋がることもあるんです。


― KTECに入社して成長できたと感じる部分はありますか?

ひとつは、身につけたかった「マネジメント力」だと思います。エンジニアには、きちんと細かくスケジュールを切ってマメに連絡をしたほうが能力を発揮できるタイプと、ある程度の自由さがあったほうがのびのびと開発ができるタイプがいるので、相手によって方法を変えながらスケジュールの管理をしています。自分もエンジニアだからこそ、その生態系に対する理解はあるので、心地よく力を発揮してもらえるようなマネジメントができたらいいなと思っています。

もうひとつは、案件に対する「視座が上がった」ことです。フリーランスエンジニアだった頃は目の前の仕事を消化するだけで精一杯でしたが、KTECでさまざまな案件に関わる中で、コンテンツを見るのがどういう人で、その先にはどのような働きかけが生まれて、最終的にどんな影響が生まれるのかを俯瞰して考えるようになりました。

例えば、医療従事者を目指す学生が学習するVRコンテンツでは、よりスピーディーに正確な知識を身につけることが目的のひとつとなりますが、それは一時的なものではなく将来的に彼らに診てもらう患者たちの安全性の向上に繋がります。

自分が携わったアプリが、未来をほんの少し良くすることができるかもしれない。そう思えるようになったのは、KTECで働く中で、私自身の考えが大きく変わったからだと思います。


医療にまつわるVRコンテンツを開発した際に使用した臓器のクリアモデル

フリーランス時代と変わらない、働く時間と場所の自由さ

― 現在の働き方や稼働時間についても教えてください。KTEC入社前と比較して、働きやすさに変化はありましたか?

KTECは、リモートワークが可能、コアタイムのないフレックスタイム制のもと勤務時間は月単位で精算する勤務形態です。始業時間と終業時間は自分で決めてチーム内で共有するのですが、自由度が高いとはいえチームのみんなと時間を合わせたほうがコミュニケーションは取りやすいので、そのあたりも考えながら決めています。

私はあまり朝が強くないので、11時から19時半で稼働することが多いのですが、作業に集中して夜遅くまで稼働したら、翌日はスタートを少し遅らせて稼働時間を短めにするなど、調整することもできます。いつ作業を始めてもいいし、いつ終わってもいいという意味では、フリーランス時代とさほど変化がないので、違和感なくすんなり対応できましたし、現在もなんら不満はないですね。

― リモートと出社のバランスはいかがでしょうか?

作業に集中したい時はリモート、巨大モニターでの検証など機材を使う必要があるときは出社というふうに使い分けています。開発3部が携わっているプロジェクトはどうしてもハードウエアを使う作業が発生するので、出社が多くなる時期もありますが、特にストレスはありません。チームのみんなとは毎日チャットツールでやりとりをしていますが、リアルで会ったほうが濃い情報共有ができることもありますしね。


― 福田さんはKTECの社員になって2年目に入ったわけですが、これからやってみたいこと、挑戦したいことはありますか?

エンジニアを育てることに関わってみたいと思っています。社内のエンジニア育成だけでなく、社外エンジニアに向けたVRコンテンツ塾を開催するのはどうだろうと、今、構想を練っているところです。

エンジニアの技術力が上がれば日本のVR業界の底上げにもなりますし、意欲あるエンジニアとの出会いはKTECとしても価値のあることだと思います。フリーランスの時にはプログラミングスクールで講師をしていた時期がありますが、技術を教え育てる行為は、開発とはひと味ちがう魅力があるんです。

― 最後に、福田さんが思う、「KTECに向いている人物像」を教えてください。

まずは技術が好きで、普段から積極的に新しい情報をキャッチアップできる人ですね。そして、なにか案件があった時に、「それ知っているから秒で片付けるぜ!」みたいな人が向いている気がします。

あとは、チャンスの種はあちこちに転がっているので、受け身で待っているタイプよりは、自分からアクションを仕掛けていく人のほうが活躍できると思いますし、ぜひそういう方と一緒に仕事がしたいですね。

― ありがとうございました!


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