インドでのオフショア拡大プロジェクトで社長賞受賞! 未来を切り開く若手エンジニアの挑戦

開発2部 太田 喬也

「もっと楽しく。もっと面白く。あくなき探究心で。」をパーパスに掲げているKDDIテクノロジー(社内ではKTEC(ケーテック)の愛称)。

今回は、2023年度の社長賞を受賞したチームを代表して、開発2部太田さんにプロジェクト成功に至った過程を語ってもらいました。


KTECでは毎年、すべての社員を対象に、技術力向上に対する意欲を高めたものや、当社業績に多大な貢献をしたものに報いること、そして今後の業務推進を奨励することを目的として、社員表彰を行っています。

その中で、最も優れた取り組みには社長賞が授与され、2023年度は「ニアショア、オフショアの拡大」を実施した開発2部の太田さん、福士さんチームが社長賞を受賞いたしました。

◇早速ですが、自己紹介をお願いいたします。

開発2部の太田喬也と申します。開発2部は主にモバイルアプリの開発を行う部署で、 私は「au PAY」というスマホ決済アプリ開発業務に携わっています。プロジェクトには多くのチームがありますが、そのひとつとしてインドの会社と協力してオフショアチームを結成しました。私はそのオフショアチームのスクラムマスターとしてスケジュール管理や他チームとの連携など、広い意味でマネジメント業務を担っています。

■インドでのオフショア開発を改善へ。社長賞受賞の背景


◇今回はどういった案件で社長賞を受賞されたのですか?

ニアショアパートナーの開拓、拡大とインド・ベトナムのオフショア活用によって、部の課題となっているエンジニア不足、コスト上昇の解決を行うと共に、全社KPI達成にも貢献したことが評価され、今回社長賞を受賞することができました。その中で私は、インドにあったオフショア開発の体制の「開発プロセス」と「他の日本チームとの連携」に着目し、改善しました。

※オフショア開発とは、人件費の削減やグローバル人材の活用を目的として、海外の企業や現地法人にソフトウェア、アプリ、Webシステムの開発などを委託する開発手法。

◇太田さんが携わったオフショア開発の概要について教えてください。

2022年5月ごろから、インドで行われていた「au PAY」の開発に私も携わることになりました。体制としてはインドの開発者が6名、ブリッジエンジニアが1名、 管理者として私と上司の2名が入り、計9名のチームです。インドの開発者と協力してスクラム開発をしていて、1スプリントを1週間とし、1週間ごとにスプリントレビューの時間を設けています。インドにもたびたび訪問し、チェンナイ、バンガロールにて仕事をしました。

◇オフショア開発環境を改善されたということですが、どういった課題があったのでしょうか?

一番の課題は、インドでのオフショア開発の開始以来、コロナ禍により対⾯機会を持てず、インドの開発者の方々と信頼関係を構築できていないことにより、連携がうまく取れていないことでした。それによって開発スピードに遅れが生じたり、こちらの要望が反映されたものができなかったりと、支障が出ていました。不具合の修正を依頼した際にも、「本当にこの修正テストを実施したのか」「そもそもテスト観点は合っているのか」など不信感を抱いてしまい、結局全てを自分でチェックしてからレビューするなど時間のロスも発生していました。

さらに言語の違いも相まって、開発者がどういう思想で開発をしているのかをキャッチすることもこちらの要望を正しく伝えることも、難しい状況でした。この状態にも課題を感じ、お互いを信頼してコミュニケーションがとれる環境づくりを目指しました。

■「コミュニケーション」と「信頼」が成功の鍵


◇具体的にはどうやって開発環境を改善していったのですか?

まずは腹を割って話すことから始めました。インドに何度か訪れた際に、開発者の想いや考えに耳を傾けて理解することに努めました。「au PAYが今後どうなっていけばいいと思う?」とラフに聞いてみたところ、開発者が考える「au PAY」の未来を熱弁してくれたことがありました。そのときに初めて、開発者の思想や熱量、チャレンジ精神を知ると同時に、不満も遠慮なく言っていただきました。試験環境が整ってない、端末が揃っていない、コミュニケーションが取りづらいなど、色んな意見がでてきました。

次に、聞いた話を元に開発プロセスを変更しました。プロダクトオーナーと開発者のコミュニケーションを私やブリッジエンジニアに集約し、開発者がストレスなく開発できる環境を作りました。

そうした試みを経て、信頼関係が少しずつ積み重なっていき、お互いにアイディアを出しながら「au PAY」の改善をよりスピーディに実行していくような開発体制を構築することに成功しました。

◇そもそもどうしてインドのオフショア開発を担当することになったのですか?

私が英語を学習していることを知った上司から「オフショア開発をやってみないか?」と声をかけていただきました。会社の福利厚生でオンライン英会話が受講できるため、新卒入社して半年後くらいからコツコツと続けていました。最初は不安もありましたが、挑戦してみようと決意しました。

「プログラムは英語で書くこともあり、海外旅行でも英語を話せたらいいな」と始めた学習でしたが、上司から声をかけられ、チャレンジできる環境はすごくありがたいです。仕事が一段と楽しく感じるようになりました。

◇英語でのコミュニケーションは大変でしたか?

やっぱり苦労はしましたね。伝えたいことがうまく伝えられずにもどかしさを感じる瞬間がたくさんありましたが、自分の知っている単語や表現を全て使い、とにかくコミュニケーションを諦めませんでした。


現地インドにて。開発者との一コマ「開発者と仕事の話だけでなくプライベートの話もすることができました」

◇オフショア開発を通して学んだことはありますか?

日本人同士で仕事をしていると見落としがちなのですが、前提条件などをしっかりとすり合わせることの大切さを学びました。言語や文化が全く違う人と仕事をするので、より一層丁寧なコミュニケーションが欠かせません。開発者がどういう思想を持って仕事をしているのか、どうすればより良くなると思っているのか、を聞いた上でこちらが求めているものを提示するとより良い改善につながると感じました。

■スクラムマスターとして成長し、チームを拡大させていきたい


◇今回のオフショア案件で感じたやりがいを教えてください。

私の存在意義は、スクラムマスターとしてチームが円滑に開発を進められるようにすることです。開発者が秘めるポテンシャルを最大限発揮できる環境を整えて、ストレスを感じずに開発していただけたときに、やりがいを感じます。そうすることで、自ずとステークホルダーやプロダクトオーナーからの評価へと繋がります。開発者のポテンシャルを引き出して開発が進み、成果物の評価をいただいたときにやりがいを感じます。

◇よりよい開発チームとして目指したい理想の姿はありますか?

チーム体制を拡大することが目標です。複数名のブリッジエンジニアに入っていただき、インドチームの人数も拡大させていくことができれば、より開発がしやすくなります。仕様書や業務で扱う文章は全て英語で書かれていますので、開発者間の言語の壁がなくなれば連携強化ができます。

それと、KTEC側の意見だけで進むのではなく、開発者の意見もたくさん取り入れるチームにしていきたいです。そのために私自身としてもチームメンバーの意見をうまく引き出す力をつけたいと思っています。

また、今後は技術的な好奇⼼や向上⼼が旺盛な彼らを⽇本に招き、⽇本チームメンバーとの交流や協働の機会を創出して「au PAY」全体のチームをより良くしていきたいです。

◇最後に、太田さん個人の目標を教えてください。

個人の目標としては大きく分けて2つあります。1つ目は、スクラムマスターとして役割をしっかり果たせるようになりたいです。元々はチームリーダーを任されていて、スクラムマスターの経験は浅いので、スクラムマスターとしての経験を積み成長していきたいです。

2つ目は、 他国のオフショア開発にも挑戦したいです。今回、インドでのオフショア開発で社長賞を受賞しましたが、開発地域が違えば同じように進められないこともあると思います。国の文化にも大きく左右されると思うので、経験としていろいろな国でのオフショア開発を経験したいです。

◇太田さんの向上心と謙虚に学ぶ姿勢が、今回の社長賞に繋がった理由のひとつだなと感じるインタビューでした。お忙しい中、誠にありがとうございました!

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