地方創生と技術推進の融合: KDDIテクノロジーの金沢サテライトオフィス開設秘話

開発2部 部長 三橋 浩

「もっと楽しく。もっと面白く。あくなき探究心で。」をパーパスに掲げているKDDIテクノロジー(社内ではKTEC(ケーテック)の愛称)。

KTECでは現在、地方人材の活用やパートナー企業との連携を進めており、2023年11月に金沢サテライトオフィスを開設しました。

今回は、金沢サテライトオフィス所長の三橋さんに、金沢サテライトオフィス開設の経緯や、そこでの取り組みについて語ってもらいました。


◇早速ですが、自己紹介をお願いいたします。

三橋と申します。2000年に第二電電株式会社(現KDDI)へ入社し、モバイル事業でAndroidスマートフォンの立ち上げなどに参画したのち、2020年よりKTECの開発2部部長に就任しました。開発2部は、KDDIがサービス展開している様々なスマートフォンアプリやシステムの開発を主な事業とする部門です。金沢サテライトオフィス開設と同時に、金沢サテライトオフィス所長も兼務しています。

■KTEC初の北陸拠点でもある金沢サテライトオフィス開設の背景


金沢サテライトオフィスの内観。ここで日々パートナー企業とともに開発案件を推進している

◇金沢サテライトオフィスが開設された経緯を教えてください

開設のきっかけは、開発2部の課題であったエンジニア不足とコスト上昇の解決を図るために始めたニアショア開発(*)です。社員が足りずに困っていたときに、開発案件の一部を金沢市内のパートナー企業にお願いしました。その際、短期間で非常に大規模な開発を完遂いただき、無事にサービスをお客様へ届けることができました。以降、その企業との交流がさらに盛んになり、ちょうど両社の人材増加が重なったタイミングでオフィス開設の話が持ち上がりました。

*ニアショア開発とは、国内の地方企業にソフトウェア、アプリ、Webシステムの開発などを委託する開発手法。

◇オフィス開設までにどのくらいの期間がかかりましたか?また、周辺環境についても教えてください。

オフィス開設までには約1年半かかりました。場所は観光スポットとしても有名な近江町市場のすぐ近くにあり、利便性は非常に高いです。オフィス開設によって、設備が揃った空間を確保でき、作業や打ち合わせに幅広く取り組む環境が整いました。


金沢市の有名な観光地である兼六園にもオフィスから徒歩で約15分

◇金沢サテライトオフィスではどのような業務をされているのですか?

金沢サテライトオフィスでは常勤の社員に加え、東京本社からも多くの社員が出張し頻繁に利用しています。また、パートナー企業の方々にも数名勤務いただいています。現在は主に、KDDIが提供するサービス「au Short」と「au スマートパス」などの開発案件を進めています。企画、開発、テスト、保守、運用などサービス全般に関することをパートナー企業と一緒に考えながら推進しています。

■パートナー企業との信頼関係がサービス向上に繋がる


◇金沢サテライトオフィスが開設されたことで、パートナー企業との連携は向上しましたか?

はい。共同開発を進める際に、意見を交換しやすくなりました。普段の業務連絡などはリモートで問題ないのですが、直接話して気づくことや得られることも仕事を進める上で重要であると思っています。私たちだけでは気づかないところにも着目していただき、よりよいサービスになったケースがたくさんあります。

例えば、以前パートナー企業から「サービスを向上させるためにはどうしたらいいだろう」とアプリのサービス内容の表示順序や、お客様視点でのよりよい表示や操作のあり方にまで立ち返って意見を出していただいたことがありました。当時、私たちはついつい開発自体に意識を向けがちでしたが、そのようなところまで主体性を持って一緒になって考えていただき、より良い仕事となったことを実感しています。金沢サテライトオフィスが開設されたことで、さらに活発な意見交換を行えるようになりました。

◇パートナー企業の方々との関係性はどのように構築されたのでしょうか?

パートナー企業がいつも誠実な姿勢で取り組んでくださるので、信頼してお仕事を進めさせていただいています。金沢サテライトオフィス開設のきっかけになった大規模案件では、開発条件に多くの課題があったのですが、その中で最善を尽くしていただきました。私たちの仕事は、パートナー企業と一体となった体制があって成り立っています。引き続き、協力関係を強化していくためにもパートナー企業に対する感謝の気持ちを忘れずに業務に取り組んでいきたいです。

また、このパートナー企業は地元 に対する想いも強い点に尊敬しています。純粋に開発案件を進めるだけではなく、金沢市などの地場産業の高度化をITで支援して、石川県の活性化を目指している想いには私自身もとても共感しています。

■北陸地方創生への展望と、行政との連携強化


◇地方への貢献や連携についてもお聞かせいただけますか?

北陸地方の学生やエンジニアとの連携を強化し、雇用創出・活性化にも貢献したいと考えています。人材の採用などに関しては、石川県や金沢市の職員の方のご協力もいただきながら進めているところです。

また、金沢サテライトオフィスが開設されるタイミングに合わせて、当社代表取締役社長の大井、広報担当の冨沢とともに石川県知事および金沢市長へ表敬訪問させていただきました。訪問の様子は複数の新聞にも掲載され、KTECの認知拡大に繋がりました。実際に、金沢サテライトオフィスでの新規雇用も実現しています。今後も金沢サテライトオフィスをさらに拡大していき、石川県、金沢市とともにKTECも発展できればと思います。


石川県馳知事に表敬訪問させていただきました@石川県庁


◇他にも地方への貢献について考えることはありますか?


個人的には、災害復興の一助になる活動も行いたいと思っています。2024年1月1日に発生した能登半島地震では、金沢サテライトオフィスも備品の一部が破損しましたが、能登半島地域の甚大な被害とは比べ物になりません。能登半島地域では今でも家屋が倒壊したままの場所が多くあります。被災地の復興活動にお役立ていただくため、KTECでは石川県へ災害義援金を寄付させていただきましたが、その他にも今後、石川県に貢献できる活動に取り組んでいきたいと考えています。

◇今後におけるKTECのニアショア事業拡大の展望について教えてください

今回は金沢市にサテライトオフィスを開設し、パートナー企業との連携や地方人材の活用に成功しました。この成功事例をもとに、他の地方でも人材基盤を構築したいと思っています。これからの開発は、場所にとらわれない進め方や働き方に移行していくはずです。リモートとオフィス、大都市圏と地方などの要素を掛け合わせて開発体制を整え、KTECの事業拡大に貢献していきたいです。

◇最後に、金沢サテライトオフィスが開設されてから知った金沢市のおすすめスポットを教えてください

私のおすすめは「ひがし茶屋街」です。美しい出格子と石畳が続く古い街並みには風情があり、夜になるとまた雰囲気が変わります。観光地として有名ですが、適度な静けさもあり大好きです。


美しい街並みのひがし茶屋街

◇金沢サテライトオフィスが開設されたことによって、KTECの地方創生とさらなる事業拡大の兆しが見えたことが分かりました。お話を聞かせていただきありがとうございました!

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